![]() | 官能小説家 (朝日文庫) (2005/05/12) 高橋 源一郎 商品詳細を見る 前の年の冬頃から、鴎外は「樋口一葉」という名前をよく見かけるようになった…。森鴎外と樋口一葉の「不倫」を軸に、明治と現代、ふたつの文学空間が睦みあう超官能小説。『朝日新聞』夕刊連載の単行本を文庫本化。 |
【内容紹介】
文壇を揺るがす大スキャンダルが発覚! 森鴎外と樋口一葉、ふたりの「不倫」を軸に、夏目漱石、半井桃水、石川啄木、タカハシゲンイチロウら小説家たちが、時空を超えて入り乱れ、文学を語り、愛を交わす……これは現実か、それとも夢なのか? 明治と現代、ふたつの文学空間が睦みあい、肉体と言葉がからみあう著者初の超官能小説! 朝日新聞連載時より話題沸騰の衝撃作、待望の文庫化。
【カスタマーレビュー】
小説家が小説を書いて生き残っていくとはどういうことか?
おそらく日本で一番小説に一生懸命だった時代=明治、の小説家にスポットをあて、高橋源一郎が小説を遊びつくす。読んでいて飽きが来ない文章も、幾重にもくるまれた小説の仕掛けも新鮮。
小説ってなに?小説っておもしろい?っていう人にはぜひお勧めしたい一冊。
高橋源一郎さんを好きな男の方がなんにんいるか・・・。高橋源一郎は常にジェンダーを頭において書いていると思う。ちょうど2冊読んでいたうちの一冊がこれでもう一冊はジョアナ・ラスの「テクスチュアル・ハラスメント」。偶然、まったくいっしょのテーマでまったく違うスタンスなのですがどちらも傑作。この官能小説家のすごいところは、一葉が漱石に言う337ページからの「夢の女」についてと、小説論と恋愛論をいっしょに書かざるをえなかった源一郎氏の業の深さです。いったいどのくらい人は他人に乗り移るのか。そしてそれが破れたときにどう正気を失うのか。世の男性の何パーセントがこの源一郎氏の傑作に耐えられるのでしょうか?
「日本文学盛衰史」の外伝、といったところでしょうか。背景やモチーフはだいぶ重なりますが、より高橋氏自身の「小説」観が濃く織り込まれている気がします。作品自体の完成度としては「日本文学盛衰史」のほうが上と思いますので、その後に読んだほうがおもしろいかと、個人的には思いました。
突然登場する俗っぽい展開は相変わらずですが、そのなかにとても切れ味の鋭い一文がおもむろにあらわれて、そのたびにハッとさせられるのはさすがです。
新聞連載時は、どうしても細切れにしか読めないので、唐突な展開についていけないこともしばしばだったが、こうしてまとめて読んでみると、当時は意味不明だった部分もきちんとつながって、すっきりした。一葉と桃水の描写が痛々しく、みずみずしい。しかし、一葉が出てくる箇所を読むたびに、いちいち室井祐月の顔が浮かんでくるのが読書の邪魔である(笑)。「もう100年もたったんだから、ちょっとは変わっててもよくない?」という、現代に蘇った森鴎外のセリフに納得してしまった。
パロディは冷徹な批判なくして書かれえない。
筆者が文学史をモチーフに取り上げた小説としては、ほぼ同時期に書かれ、朝日新聞にも連載された『日本文学盛衰史』があるが、私個人としては『官能小説家』の方がレヴェル的に上だと思う。タイトルや舞台装置、時にどうにも気の抜けた駄弁とは裏腹に、実のところ、非常に純粋な恋愛小説を孕んでいたりもする。半井桃水が樋口一葉を見出し、鍛え抜いて、そしてついにその才能を開花させる場面などは甘美この上ないものである。まあもっとも、一葉自身の小説そのものは、紙幣にその肖像を用いられるにも値しない、大いに興ざめする代物ではあるにせよ。桃水の描写たるや、ややもすると田山花袋『蒲団』を思い起こさせるようなところもあり、「男は女の肥料」たるその儚さ、惨めさに肉薄する高橋の筆致は確か。
この小説、主人公となると、一応表題からしても、森鴎外になるのだろうか。当時としては恐ろしく刺激的であったに違いなく、事実販売を禁じられた『ヴィータ・セクスアリス』なる官能小説を書いたりもしているわけだし、堅牢な人格と思われがちな反面、洒脱な茶目っ気もあり、そうした側面を印象付けるための暗喩として、日サロだ、AV男優だ、という設定を持ち込む意図も分かるけれども、そこまでする必要が果たしてあるのか、と思ったり、思わなかったり……
堅苦しい文学史の学習などと肩肘張らずに気楽に読め、それでいて文学性も秘めた一冊。
○ 官能小説家を調教中 (森本 あき)
○ 官能小説家は発情中 (森本 あき)
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