![]() | せどり男爵数奇譚 梶山 季之 (2000/06) 筑摩書房 この商品の詳細を見る “せどり”(背取、競取)とは、古書業界の用語で、掘り出し物を探しては、安く買ったその本を他の古書店に高く転売することを業とする人を言う。せどり男爵こと笠井菊哉氏が出会う事件の数々。古書の世界に魅入られた人間たちを描く傑作ミステリー。 |
【カスタマーレビュー】
古書に限らず、マニアックなものには様々数奇な人生譚がつきまとう。
面白可笑しく、時には歯がゆく物悲しい。
古書蒐集や、その周辺に関わる仕事が止められなくなるのは、そういうものを
引っ括めて魅力となってるからなのかもしれない。
そしてそれがあまりにも過ぎると、犯罪の方に片足(もしくは腰までズブズブと)
浸かってしまう事もあるのだろ~~うが、心の底から憎むことができないのは、「気持ちは分からんでもない」という心理がどこかであるからなんだろう。
この『せどり男爵数奇譚』はそんなことを考えながら読んでしまう本である。
古書が関わってくるストーリーだからといって、話題が古書の蘊蓄だけに終始してると思うなかれ。
「古書なんてわかんないし、そういうマニアな世界はとんと~~理解出来ない」という方にも読んで欲しいと思う一冊。久々にドラマティックに脳を働かせる読書をいたしました。
世の中に数の多くない、でもある人にとってはお宝のような本。そういう値打ちものの本を蒐集する魅力に取り憑かれ、いつしかその技能を生業とするようになったせどり男爵。「せどり」とは古書業界の用語で、めぼしい本を見つけて、安く買ったその本を他の古書店に転売することを言うのだそうな。そんな異名を持つせどり男爵が、これまでに体験した出来事、彼と同じような書物狂、愛書家の人たちを語っていく話が六つ収められています。
たかが本、されど本。
一般の人たちにとってはクズ同然の本が、その道の目利きたち、コレクターたちから見れば、なんとしてでも手に入れたい垂涎の書となるんですねえ。憑かれた人たちの執念が、しばしば狂気的な度合いにまで高まり、善悪の判断さえなくしてしまうところなど、読んでいてぞくぞくしました。
本書は、「ミステリー通になるための100冊/まずは本の謎」の中で、北村薫さんが取り上げていた一冊(『この文庫が好き!』朝日文芸文庫より)。ずっと気にかかっていた作品でしたが、思い立って読んでみて良かったです。一旦読み始めたら止まらない面白さがあったから。
殊に、本の装丁をめぐる第六話のインパクトが強烈! 「ここより先、怪物領域」とでもいう、憑かれてしまった人間の妄執に戦慄させられました。
小説家がふとしたことで再会した人物は、趣味が昂じて古書店を経営するようになった「せどり男爵」と呼ばれる男であった。その後彼と会うたび、古本をめぐる数奇な物語が次から次へと語られていく。初版本や稀少本に興味がない人でも本好きならこの面白さがわかるに違いない。
この本は著者が亡くなる前年の作品である。古書をめぐる話とはいえ、その中にはサスペンス、恋愛、政治など様々な要素が熟練したタッチで盛り込まれている。個人的には戦争や朝鮮に対する著者の思い入れが印象に残った。
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